2019/01/11発行 ジャピオン1001号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第91回 2020年大統領選

20年大統領選を予想
前副大統領や新星も

2018年米中間選挙が終わり、政界とメディアは一挙に、20年大統領選挙モードに入った。19年中には、各候補者が立候補を表明し、約1年半の長い選挙戦に突入する見込みだ。これを書いている18年末時点で、20年の大統領候補に予想されている人々をさらってみよう。

米メディアによると、トランプ大統領は再選を目指し、選挙資金などを集めている。中間選挙で、共和党候補者らの支援に回った際も、20年選挙を見据え、自らの業績をアピールしていた。

トランプ対抗馬
民主党の候補者

注目は、トランプ大統領に対抗する民主党候補だ。最新のデータは、CNNが行なった調査で、成人に対し、「2020年大統領選挙で、誰に投票したいですか」という質問に答えたものだ。結果は以下の通り。

ジョー・バイデン(前副大統領、支持率30%)、バーニー・サンダース(バーモント州上院議員、14%)、ベト・オルーク(テキサス州下院議員、9%)で、以下、コリー・ブッカー(ニュージャージー州上院議員)、カマラ・ハリス(カリフォルニア州上院議員)が続く。

にわかに注目されているのが、オルーク下院議員で、中間選挙の際、テキサス州上院議員選で、16年大統領候補の1人、テッド・クルーズ上院議員と大接戦を繰り広げた。結果として敗退はしたものの、得票率の差はわずか2・6%というところまでクルーズを追い上げた。上院議員選としては過去最高の選挙資金を集め、当選すれば1994年以来初めて、民主党が保守的なテキサス州の要職を獲得するはずだった。

テキサスで善戦
保守地盤揺るがす

筆者は、彼が上院議員に当選しなければ、大統領選に出馬する目はないと思っていた。大統領候補者は、圧倒的に上院議員や州知事が多いからだ。しかし、敗北したとはいえ、保守地盤の代表格ともいえるテキサス州で、共和党候補者にわずか2・6%差というところまで追い詰めた。これに、民主党幹部や有権者が注目し始めた。

オルークは、18年末時点で立候補を表明はしていない。しかし、中間選挙が終わってからすぐ、彼の陣営からのニュースレターメールが復活した。米国とメキシコの国境に押し寄せている南米からの移民に対し、米軍が催涙ガスを放った際は素早く、「間違っている」という内容のメールが来た。さらに、彼は中間選挙時と同じように、州内の郡を回り続けている。少ない時は数十人、多い時は数百人の支持者を集めたタウンホール・ミーティングを繰り返している。あたかも、大統領選挙に備え、長い準備を始めたようにみえる。

しかし、「新星オルークで大丈夫なのか」という論調の記事さえ、米メディアに表れ始めた。人気のサンダース上院議員ほど「プログレッシブ(進歩的)」に見えないということ、また大統領としての公約も不透明というのが理由だ。

前歴問われぬ時代
オプラら有名人も

一方で、CNNの調査以外では、変わりどころの候補者の名も上がっている。リベラル活動家でヘッジファンドを運営するトム・ステイヤー、人気のセレブ、オプラ・ウィンフリー、フェイスブック最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ、スターバックス前CEOのハワード・シュルツなどだ。いずれも政治経験はなく、上院議員でも州知事でもない。しかし、トランプも不動産王から大統領になった今、前歴はそれほど問われなくなっているかもしれない。

CNN調査では、22人もの個人名が並んでいる。ワシントンに住む筆者の友人は、前バージニア州知事のテリー・マコーリフを支持しており、「テリー・フォー2020」というバッジを作って、友人に配っている。何れにせよ、米国民が具体的に誰に大統領になってもらいたいのか、早くもビジョンを描いていることが分かる。

とはいえ、現職は強い、というのが選挙の定石。強いトランプ大統領を負かすほどの民主党候補が現れるのか、楽しみなところだ。

昨年9月の中間選挙でテキサス州第1区から連邦上院議員に立候補したベト・オルーク氏。共和党の現職、テッド・クルーズ議員に僅差で破れたが、2020年の大統領選では、民主党候補として期待がかかっている

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

ベト・オルーク

アメリカ合衆国連邦下院議員。民主党所属。1972年、テキサス州エルパソ生まれ。2005年から11年までエルパソ市議会議員を務めた後、13年に連邦下院議員にテキサス第16区から選出されている。18年の中間選挙で連邦上院選でテキサス州第1区から出馬し、現職で共和党のテッド・クルーズ議員に挑み僅差で破れた。

同選挙区は過去20年以上、共和党以外の候補が当選したことがないが、今回の中間選挙でのオルーク氏の善戦にメディアが注目した。オルーク氏は、中間選挙の10日後にバラク・オバマ前大統領と会談。20年の有力候補と期待が高まっている。

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