2017/12/15発行 ジャピオン946号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第65回 大統領に「セクハラ」辞任迫る

トランプ氏からセクハラ
被害女性3人が告発

 「既婚女性とセックスしたい」

 「(女性には)いきなりキスしだすんだ。それにこっちがスターだと、向こうはやらせてくれる。何でもできる。プッシーをわしづかみにしたり、なんでもできる」

 2005年に録音されたトランプ大統領が、テレビタレントだったころの発言だ。NBCのテレビ司会者と録画前にしていた会話が、マイクがオンになっていたために、偶然録音されていた。それを2016年大統領選挙戦中、ワシントン・ポストがすっぱ抜いた。この録音から少なくとも、トランプ氏がセクハラに値する発言を何とも思っていなかったことが分かる。

トランプ氏のセクハラ
女性3人が調査要求

 12月11日、トランプ米大統領に過去、無理やりキスされたなどセクハラを受けたと告発する女性3人が、記者会見を開き、トランプ氏の大統領辞任と連邦議会による徹底的な調査を求めた。ハリウッドの大物プロデューサーがセクハラで複数の女性に告発されたのをきっかけに、エンタメ・メディア・政界のセレブに対するセクハラ告発が続いているが、ついにトランプ氏が俎上(そじょう)に上がった。

 会見したのは、昨年の大統領選挙中にトランプ氏のセクハラの告発をしたジェシカ・リーズさんの他2人。

 「30年以上前、女性が仕事で飛行機に乗るのは珍しかったので、ファーストクラスにアップグレードされて、ドナルド・トランプという男性が隣にいて自己紹介しました。ところが、食事が終わった途端に、のしかかってきて、胸をつかまれました。スカートに手を入れられた時点で、何とか立ち上がってエコノミークラスに戻ることができました。それ以来、飛行機にスカートで乗ったことはありません。彼に会わないように、全乗客が降りるまで、降りませんでした」(リーズさん)

 また、レイチェル・クルークスさんは、女性に対するセクハラ・暴行を減らすため、告発を支援する「#Me Too」運動に共感し、記者会見に臨んだ。トランプ氏には05年、セクハラを受けた。

 「トランプ氏は、頰に何回もキスして、ついには唇にもキスしました。これは、私のその後の人生に大きなインパクトを与えました。(中略)不幸にも、このような行為は、私たちの社会では、珍しいことではありません。どんな出身の人も、犠牲者になります。私がここで今日告発する理由は、加害者が現在は、私たちの国の大統領だからです」

 「もし、議会が(セクハラ疑惑で辞任を発表した)フランケン上院議員(民主党)の調査をしようとしているのであれば、トランプに対して同じことをするのが公平です」(クルークスさん)

 3人目のサマンサ・ホルビーさんは、

 「トランプ氏に対する捜査は、超党派であるべきです。党利党則に偏ったものであっては、なりません。なぜなら、これは、女性が毎日毎日直面する文化の問題だからです」

 として、超党派による議会調査と大統領の辞職を求めた。

「耳を傾けるべき」
国連大使も批判発言

 この記者会見に先立ち、連邦議会では、フランケン議員を含む3人が、セクハラの告発を受けて、辞任を表明。議会委員会の調査の手が及ぶ可能性もある。このため、選挙戦中からセクハラ疑惑が噴出していたトランプ大統領も、過去の責任を取るべきだという声が要人から上がっていた。なぜなら、選挙戦中にトランプ氏のセクハラを勇気を振り絞って告発した女性は、十数人にも及ぶからだ。

 トランプ氏に任命された側近のニッキ・ヘイリー国連大使でさえ、12月10日、こう発言し、トランプ氏を批判した。

 「すべての女性の告発に耳を傾けるべきであり、そして、彼女らは、本当のことを言っていると信じてもらうべきだ」

 告発と責任を問う動きは、米国の最高職にまで及んだ。しかし、ホルビーさんが指摘するように、セクハラは「女性が毎日直面している問題」というのは、すぐには変わらない。有名人である加害者が職を追われるのは、勇気付けられるが、職を追われるべき差別主義者が消えるまでは、まだまだ時間がかかる。

トランプタワー前に集まるトランプ支持者の女性たち。「MakeAmericaGreat Again」やトランプ氏が支持する中国の経済政策「One Belt One Road」のサインが見える

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

大統領へのセクハラ告発

11日、レイチェル・クルークスさん、ジェシカ・リーズさん、サマンサ・ホルビーさんの3人が記者会見を開き、過去にトランプ氏に無理やりキスされるなどセクハラを受けたと告発、大統領の辞任と連邦議会による調査を求めた。会見は、ドキュメンタリー「16Women and Donald Trump」の製作会社が開いたもの。同作は複数の女性がトランプ氏の性的加害行動を訴える内容。これに対し、ホワイトハウスは、トランプ氏が全面否定していると発表し、また大統領に選挙で選ばれたことが、これらが嘘の訴えであることを示しているとしている。

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