2016/05/06発行 ジャピオン863号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第26回 アメリカにおけるリサイクルとは

リサイクル意識高まる
マイバッグを持ち歩いて

 「人のゴミは、他人の宝」とでも言おうか。ニューヨーク流「リサイクル」とはこれか、と感心した方法がある。自分にとっては不要だが、まだ使えそうなものを、単に路上に出しておくというものだ。

 友人が住むブルックリンで初めて見たが、衣類から家具、ペット用品、照明器具など幅広い。友人のアパートは、パークスロープのれんが造り通りにあったため、近所は裕福な住民も多い。友人は、ブラックタイのパーティーに着ていけるようなドレスを何度も拾った。

路上リサイクルを
市民は上手に利用

 その友人が引っ越す際は、「ガレージセール」ならぬ「ストゥープ(階段)セール」を開き、私も参加した。もちろん、売れ残るものもあったが、見ていると、意外なものが売れる。一番驚いたのは、古いブラウン管テレビやバスルーム用のゴミ箱を買っていった人がいたことだ。売れ残ったものは、全て翌日、近所の中古家具屋とリサイクル衣料店に持ち込んだ。

 以来、私もこの「路上リサイクル」システムをよく利用するようになった。ショップに持ち込むほど状態も良くないが、捨てるほどでもないという衣類は、アパートを囲むフェンスに置いて、大体1時間ほどでなくなる。また、記者会見に行くと配られる名札のストラップや、企業のノベルティーのペン、ノート、手提げ袋なども、箱に入れて歩道に出しておくと、最後の1本のストラップまでなくなる。拾った人はきっと、携帯電話や鍵を下げるのだろう。

 日本から来た人は、ゴミの仕分けが徹底していないのを見て、米国人のリサイクル意識が低いのに驚くだろう。しかし、「路上リサイクル」は、日本にはないものだ。近所の上級生の「お下がり」は着た記憶はあるが、拾ってきて何かを使用したという記憶はない。

 一方、行政主導のリサイクルはどうなっているのか。約1年前にデブラシオ市長が発表した環境政策指針「OneNYC」では、一般ゴミの量を30年までに、2005年の水準から90%削減するという、全米の自治体で最もアグレッシブな目標だった。削減の方法は、リサイクルの推進、削減目標に貢献した団体などへの奨励金、プラスチックバッグ(ビニール袋)の減量だ。

ビニール袋に課金
街のゴミ対策に

 カリフォルニア州では、ドラッグストアやスーパーマーケットで、プラスチックバッグを希望する消費者に5セント課している。また、路上でプラスチックボトルに入った水を販売することが禁止された。このため、空港やショッピングモールには、自分で持ち歩いているマイボトルに飲み水を入れる装置が登場し始めている。

 ニューヨーク市も4月28日、ようやく市議会がプラスチックバッグに5セント課金する案を容認する姿勢をみせた。ニュース専門チャンネル「NY1」によると、市民は、年間90億枚のプラスチックバッグを捨てており、市はゴミとしてそれを埋めるのに1200万ドルかけているという。

 カリフォルニア州に出張で行くと、自分がいかに無意識に、プラスチックバッグを受け取っているかが分かる。例えば、小さなものを買って「バッグは5セントですけど」と言われると、「あ、カバンに入るからいいです」ということが多いのだ。課金を始めると、そういった小さなことから意識が変わるのだろうと期待できる。

ビール瓶集めは
収入源&リサイクル

 米国人がゴミの仕分けをする意識が低いのにはまだ驚くが、5年前、いや1年前と比べても、身の回りではゴミのリサイクルをする人が増えていると感じる。プラスチックボトルやビールの瓶を歩道の脇に置いて、ボトルを集めている人たちが拾いやすいようにしている人もいる。ボトルを拾っている人々は、リサイクルできるボトルや瓶1本当たり5セントを受け取り、生計を立てている。彼らの生計でもあるが、同時に彼らは「リサイクラー」でもある。支援したい。

 誰もが、マイバッグ、マイマグ、マイボトルを持って歩き、さらにゴミのリサイクルが進めば、とてつもない変化につながるだろう。

子供のスカート、企業イベントでもらったマスコットなどを、路上リサイクルしてみた

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

ビニール袋有料化の流れ

ニューヨーク市議会は5日、消費者がスーパーマーケットなどの店頭で受け取る使い捨てビニール袋に対し、一袋5セント課金する法案に投票する。メリッサ・マーク=ヴィヴェリト市議会議長は、合法化を支持する姿勢を表明している。同法案はブラッド・ランダー議員、マーガレット・チン議員らにより提案されたもの。当初、一袋10セント課金という案だったが、5セントに修正された。ランダー議員はすでに法案成立のために必要な、過半数の支持を得ているとされる。

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