2015/10/23発行 ジャピオン836号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第13回 未就学女子が6200万人の現実

国際ガールズ・デー
解き放て女の子パワー

 小中学校に通えない女の子が、世界に約6200万人もいることをご存知だろうか。
 
 10月11日、東京の国連大学で開かれた「国際ガールズ・デー」のイベントに参加して知った、驚くべき数字だ。他にも知っておくべき数字がある。
 
 「40%」。女の子が初等教育を受けると、将来産む子供が5歳まで生き延びる確率が40%も上がる。汚染された水たまりの水で、ミルクを作ったりするといった衛生に対する無知が解消される。また、文字が読めれば、病気になったりした場合に、正しい分量の薬を飲ませたりすることができるからだ。
 
 「10兆円」。これは、65の途上国や東欧諸国で暮らす多くの女の子が、中等教育を受けられないことによる、経済的な損失の額で、1年に10兆円にも上る。

 「22%」。これはケニアの例で、女性が男性と同じレベルの教育を受けて、農作業に対する決定権を持った結果、収穫高が22%アップしたということだ。

世界中の女の子に
生きていく力を

 ニューヨークには国連本部があるため、国連総会(9月)や「国際女性デー」(3月8日)、「国際平和デー」(9月21日)などの行事、そして「ミレニアム開発目標」など、各種レポートに接する機会が多くある。しかし、「国際ガールズ・デー」は知らなかったし、東京で国連関連のビルに足を踏み入れることになるとは思わなかった。ニューヨーク本部のお膝元に住んでいるからといって、国連が関わる世界の難題・課題を把握しきれるかというと、そうではない。
 
 国連大学のキャンパスには、国際ガールズ・デーの意味を知るための看板が、あちこちに立てられていた。
「世界の女の子に、生きていく力を」

暴力、児童婚、労働、
教育を受けられない

 「女の子だから」というだけで、10代で結婚させられたり、学校に行くのを止められたり、暴力を振るわれたり、男の子と同じ食事や治療をさせてもらえないケースも多くある。それを「女の子だから、これもあれもできる」という方向に向かわせるのが、ガールズ・デーの目指すところだ。
 
 こんな看板もあった。

 「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない」
 
 ニジェールの15~19歳の女の子のうち結婚しているのは61%、これに対して同じ年の男の子で結婚しているのはたったの3%だ。
 
 学校に行けなかったため、字が読めない非識字率が男の子よりも高く、しかも10代で結婚させられると、大人になった将来はどうなるのか。
 
 家事育児、老人の介護など、収入にはならない労働に従事するために、生活の達成感が与えられないままになってしまう。また、農地や家畜、財産などを所有し、相続することもできない。HIVとエイズに関する知識がなく、情報も読めないため、感染率が男性よりも高くなる。
 
 例えば、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、HIVに感染している15~24歳の女の子の割合は、男の子の2倍にもなる。

教育とミシン
生きる意味を得た少女

  東京のイベントでスピーチをしたインドのプリヤンカさんは、18歳。インドの農家の娘として生まれ、11歳で父が出稼ぎ中に死亡。家計を立てるために母親が仕事に出たが、病気になって働いても女性が収入を得るのは難しい。そんな中、子供の貧困撲滅のための団体「プラン・インターナショナル」に出会い、プリヤンカさんと母親は、ミシンをもらって家計を支えるようになった。
 
 いずれ稼ぎ手になるということで、弟の教育が優先されていたが、彼女も中高、大学と行かれるようになった。弟の学費も出している。

 「女の子は、家族や社会に役に立たないという存在ではないのです!」と彼女は締めくくった。
 
 彼女の生き生きとした目は、教育とミシンという生きる意味を与えられたことによる自信を物語っていた。こういう目の女の子を、もっと増やさなくてはならない。

国際ガールズ・デーにて、教育を受けられる大切さを訴えるプリヤンカさん

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

プラン・インターナショナル

子供たちの権利を促進し、貧困から何百万人の子供たちを救うため、51の途上国で活動をする、国連に公認・登録された国際NGO。「人々の権利と尊厳が守られ、全ての子供が能力を最大限に発揮できる世界を実現する」ことを目標に掲げ、現地の子供たちとともに、生活環境改善のための地域開発プロジェクト(病院や学校の建設、井戸の掘削など)を行っている。1937年にイギリス人ジャーナリストのジョン・ラングドン=デービスが、スペイン内戦によって親を亡くした子供たちを保護するために、「スペインの子供のためのフォスター・ペアレンツ・プラン委員会」を設立。これが同団体の始まりとなる。日本法人は公益財団法人プラン・ジャパン。www.plan-japan.org

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