2018/11/16発行 ジャピオン993号掲載記事

顧客本位で製麺一筋36年 品質追い求め事業拡大

サンヌードル 社長 夘木栄人
米国でのラーメン文化普及を支え、共に歴史を築いてきたハワイ発祥の製麺会社、サンヌードル。「お客さんが求める品を作り続けたい」。創業者の夘木栄人社長(57)は顧客本位の経営方針を掲げ、さらなる工場新設を検討。事業エリアを広げる考えだ。

夘木さんは実家が製麺業を営み、高校卒業後は徳島県の製麺会社で腕を磨いた。2年ほどして知識や技量が増してきた頃、父親が仕掛かりだったハワイでの製麺事業を一手に任されることに。「高校時代に『留学させてやる』と父親に言われながら、一向に実現しなかった」という海外生活。その憧れはあったが、人脈も海外渡航経験もなく、英語力も不安な中、心もとない船出だった。

ハワイは何軒か日系ラーメン店が進出していたものの、スープに合っている麺が少ないと感じた。おいしく作れる自信はあった。ただ日本と勝手が違い、材料の小麦がうまく調達できず、良い食感を出すのに試行錯誤を繰り返した。「大手ではなく小回りが利く自分ができることは何か」。ラーメン店を一軒一軒、味やこだわりを地道に聴いて回った。水と小麦の配合を変えたりして店ごとに適した麺を作れようになると、自然と顧客が付いてきた。

事業が軌道に乗り、得意先がロサンゼルスにも出店した際、「夘木さんも来てよ」と声が掛かったこともあり、04年にカリフォルニア州に工場を新設。ここでも各店で異 なるスープの味を引き立たせられるよう、専用麺の開発 に注力した。さらに12年にはニュージャージー州に工場を構え、計3工場で1日25万食分の麺を出荷し、日系スーパーをはじめ、高級スーパーのホールフーズマーケットでもサンヌードルの麺は売られている。「米国で麺文化の教育を担いたい」とマンハッタンに「ラーメンラボ」を設け、情報発信にも余念がない。麺への愛情は深い。

事業拡大の途中、ハワイに大手メーカーが進出して顧客を奪われるなど、苦難は数え切れない。「乗り越えなきゃいけない壁は常にある。日々乗り越え、達成していくしかない」と毎日がチャレンジの連続という夘木さん。ただ、苦労を尋ねると「パッと出てこないな。過ぎてしまうと忘れちゃう」とけろっとしている。休日は趣味のDIYに勤しみ、「溶接でバーベキュー用品を作ったりしていますよ」と笑う。根っからの職人気質の一面ものぞかせた。

年に計30日ほど滞在するニューヨークでは、薄暗い落ち着いた雰囲気のアイリッシュバーで独りグラスを傾けるのが至福の時。「ハワイにはそういうお店が少なくて」

事業エリア拡大を計画するも、重視するのは「数は追わずに中身を充実させること」。ラーメン店の要望をじっくり聴き、「一から作り上げ、役に立っていきたい」。創業当時の理念を忘れず、さらなる飛躍を目指していく。

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夘木栄人(うき・ひでひと)■宇都宮市出身。高校卒業後、徳島県の製麺会社で修業し、19歳で単身ハワイに渡る。82年「Sun Noodle」を創業、2004年にカリフォルニア、12年にニュージャージーに工場新設。取引先は米国の他、カナダやメキシコ、欧州など幅広く、出荷量は1日25万食分

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