2018/09/07発行 ジャピオン983号掲載記事

楽しい時こそ良いアイデア生まれる

アクタス・コンサルティング・グループ 社長 鈴木剛央
「こんな話でいいのかな」と話題を披露するたびにつぶやくが、緩急をつけた話ぶりは噺(はなし)家を思わせ、一つ一つドラマチックに響く。「仕事で一番大切なのは社員」。人材紹介事業のアクタス・コンサルティング・グループ社長の鈴木剛央さん(52)は、社員の働き方や休み方に気を配りつつ、日系企業の米国進出支援を新たな成長の柱に据える。

バブル景気絶頂の日本を飛び出し、28年がたった。物心がついた頃は米国文化が花盛り。「もう死語かな」と笑う“アメカジ”や、マイケル・ジョーダンに影響され、「いつか行きたい」と思っていた。大学では友人らが英語圏に留学する中、自身は家族の反対などでかなわなかった。英語のテレビ番組の情趣も解し、「女子に『すごーい』と言われる」留学組に嫉妬を覚え、疎外感も抱いた。

憧れと劣等感が交錯する中、1989年の卒業後は日本で就職し、不動産開発に携わった。ただ、「すぐ海外駐在」の期待は外れた。会社に頼るのは諦めて一念発起。翌年、なけなしの貯金を元手にニューヨークへ渡った。

着いた初日、街中にごみがあふれ返る「汚い街だな」が第一印象。後に、回収業者のストライキが原因だと知った、と苦笑する。ヘルズキッチンの安アパートではゴキブリが這い回ったり、近所で銃声が聞こえたり…。当初こそ戸惑ったが、「何とかなる」と鷹揚に構えていた。

「野心なんてなかった」と照れ笑いをする。そう言いつつも、経験のない旅行業に飛び込み、2002年にはこれも未経験の人材派遣会社をつくった。この間、同時多発テロやリーマン・ショックも経験したが、「辛いとか日本に帰りたいとかはなかった」。

楽天家かと思いきや、「経営者はネガティブな方がいい」と言い、「事業の予測は常に悲観的に捉えるが、行動は楽観的に」という哲学を持つ。来米当初、ほぼ家賃に消える月給の残りを英語学習に充てた。陽気な語り口の端々に、実直な努力家の一面ものぞく。

マネジャーたちには自己裁量で無制限に休暇を取らせ、他に、社員は出張時に四つ星以上の宿に泊まるとの規定もユニーク。そこには一流のホスピタリティーを学び取ってもらう狙いがある。「出張経費でなく、必要な人材育成費と考えている」。社員は「人財」と捉えている。

近年は日系企業の進出支援に注力し、日用品やギフト商品の販路を広げてきた。商品開発で共に知恵を絞ったり、煩雑な代金回収に汗したりと「コンサルと言えば聞こえはいいけど、泥臭くやっていますよ」と照れ隠しする。

元気を回復するスポットは、自宅近くのセントラルパーク。「ニューヨークの四季が感じられる場所で和む」といい、通勤の途次や週末の散歩で季節で訪れる。休暇は家族と趣味の旅行に興じる。「遊びやプライベートなど楽しい時にこそ良いアイデアが生まれる」との信念のもと、社員も自身も楽しめる職場づくりに努めていく。

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鈴木剛央(すずき・たけお)■東京都出身。1989年に立教大学社会学部卒業後、大手百貨店系列のデベロッパーに就職。90年に渡米。日本人観光客向けツアーを手掛け、91年に在米日本人向けサービスの新事業(現アムネット・ニューヨーク)開始、2002年に人材紹介のアクタス・コンサルティング・グループを設立。ニューヨーク市在住

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