2016/12/16発行 ジャピオン895号掲載記事

ボストンぶらり街めぐり

 米国の歴史は、ピルグリムファーザーズが、メイフラワー号に乗り、現在のマサチューセッツ州プリマスにたどりついたところから始まります。古くからの伝統を受け継ぎつつ、新しく変わっていくボストンの街を四季折々の写真と共に紹介するコーナーです。

第112回 ニューベッドフォード

 ニューベッドフォードは、ロードアイランド州に程近い港町で、ボストンの中心地から車でおよそ1時間30分ほどの距離にあります。ここは奴隷解放運動の中心地の一つであると共に、19世紀には世界最大級の捕鯨の街として名を馳せ、鯨油の生産で米国経済を支えてきました。

 南北戦争時代、同市では奴隷の亡命システム、通称「アンダーグラウンド・レールロード」があり、貧困や抑圧された生活に耐えかねて脱走した奴隷たちを積極的に保護、支援していました。同市に亡命した奴隷として代表的な人物に、フレドリック・ダグラスがいます。奴隷廃止論者として歴史的な演説を残し、米国人の理想像である、セルフメードマン(自らの力だけで出世した人)だとして今なお尊敬される偉人です。

 奴隷制度から解放された人々や、欧州からアメリカンドリームを求めて渡ってきた移民たちが捕鯨産業に従事し、1850年台には一人当たりの所得が全米で最も高額な街だったといいます。しかし86年、鉄道網発達の恩恵を受けたサンフランシスコの捕鯨量がニューベッドフォードを上回ると、ニューベッドフォードの捕鯨産業は徐々に衰退し、紡織産業へと移行していきました。

 ニューベッドフォード捕鯨博物館では、捕鯨の黄金時代を象徴する美しい鯨骨細工のコレクションや、捕鯨船を緻密に描写した絵画などを堪能することができます。また同館は、1997年から毎年1月に開催する、25時間にもおよぶ読書マラソンで全米に知られています。米文学の名作、ハーマン・メルヴィルの「白鯨」を、150人以上の参加者が1文1文を読みつなげていきます。外国語で参加することも可能。詳細はwww.whalingmuseum.orgをご覧ください。

 美術館を出て中心街に繰り出せば、レンガ造りの建物の隙間にストリートアートを見つけることができます。歴史と現代アートの融合を楽しみながら、市内を散策してみてください。(ライターH)

第112回 ニューベッドフォード

ニューベッドフォードの街には、南北戦争や奴隷解放運動にまつわるウォールアートもある
ニューベッドフォード捕鯨博物館では、かつての同市の主要産業、捕鯨の歴史を学ぶことができる
街中で顔をのぞかせる、ストリートアートたち。あちこち見渡しながら、のんびり市内を散策したい

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