2016/07/22発行 ジャピオン874号掲載記事

ボストンぶらり街めぐり

 米国の歴史は、ピルグリムファーザーズが、メイフラワー号に乗り、現在のマサチューセッツ州プリマスにたどりついたところから始まります。古くからの伝統を受け継ぎつつ、新しく変わっていくボストンの街を四季折々の写真と共に紹介するコーナーです。

第92回 世界初の麻酔手術

 学術都市・ボストンは、最新医療の研究が進んでいることでも知られています。中でも特に有名な病院が、1811年に開業した、マサチューセッツ総合病院(通称MGH)です。ダウンタウン北部の地下鉄レッドライン「チャールズ/MGH」駅すぐそばにある同院は、ハーバード・メディカルスクールの基礎となった、ボストンの中でも最大級の規模を誇る医療機関。雑誌「USニュース」によって、2016年度の全米最優秀病院に選ばれたのも、記憶に新しいです。

 この病院が世界的に認知されたのは、1846年10月16日。ウィリアム・T・G・モートン歯科医師が、吸入式のエーテルを使った全身麻酔手術を、世界で初めて成功させた日からです。当時はそれまで効果的な麻酔方法が確立されておらず、患者は痛みに耐えながら外科手術を受けていたというのですから、ぞっとします。 

 同院内の講堂で行われたこの公開手術では、ジョン・ウィリアムズ・ウォーレン外科医師が執刀。麻酔により、患者の首にできた腫瘍を無痛で取り除くことに成功しました。成功のニュースは全米、そしてヨーロッパに広がり、以降、吸入式による全身麻酔は世界中の医療現場で取り入れられました。ただし、エーテルは引火性のため、現在は使われていないそうです。

 手術の行われた講堂は同院のバルフィンチビルに現存しており、「エーテルドーム」と呼ばれています。定期的に同院のカンファレンスなどで用いられていますが、通常時は誰でもドーム内を見学できます。病院という場所柄、静かでひっそりとしている上、当時の木製ベンチなどがそのまま残っていて、まるでここだけ時が止まっているかのよう。派手な歴史的事件の多いボストンの、ちょっと隠れた名所です。

 開館時間は月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで。詳細は、www.massgeneral.org/museum/exhibits/etherdomeをご覧ください。

第92回 世界初の麻酔手術

手術の様子を伝える絵画。エーテルドームに展示されていて、手術の行われたその場所から眺めることができる
やわらかな光の差し込むドームは、同講堂のトレードマーク。天気のいい日に訪れたい
小さなドームには、骨格標本や歴史的価値の高い医療道具などが展示されている

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント