心と体のメンテナンス

第6回 ◆ 歯科クリニックでの安全対策(心と体のメンテナンス)

院内には空気清浄機完備
治療者と患者の安全確保

Q. 歯科クリニック再開にあたって留意されたことは?

A.

まずは、十分なPPE(個人用防護具)を確保することでした。なかなか難しかったのですが、ゴーグル、医療用マスク、手袋、ガウン、フェースシールドといったPPEなしに治療はできないため、最優先事項でした。PPEがすぐに足りなくなったのでは、クリニックを再度クローズしなければならなくなってしまいます。

次に、スタッフが安全に職場復帰できるか、通勤も含めてあらゆる側面から万全を期す必要がありました。これらは、米疾病予防管理センター(CDC)や州・全米歯科協会のガイドラインを基に判断しました。フェイスブックの歯科医グループなど、SNSの草の根ネットワークにも大いに情報を提供してもらいました。

 

Q. クリニックで講じている安全対策は?

A.

コロナ感染の症状についての詳細な質問リスト(熱や咳、呼吸困難、下痢、慢性疾患などの有無、感染者数が多い州への旅行についてなど)を作成し、患者には予約前日と当日、同じ質問に答えてもらっています。クリニックに着いたらまず手を洗ってもらい、熱を計り、クリニックを出る前にも手を洗ってもらいます。クリニックには空気清浄機と手の消毒液を完備し、必要ならマスクもお渡しします。

スタッフは全員、PPEを着用し万全を期しています。そして、患者が安心してクリニックに来られるように、これらの安全対策を講じていることを、患者にきちんと説明します。

 

 

PPE衣着の上、空気清浄機も

 

Q. クリニック閉鎖中、緊急の相談にはどのように対応されましたか?

A.

当院の電話メッセージシステムを通じて、多くの相談をいただきました。当院の患者よりも、初めての患者の人が多かったように思います。ナッツなど硬いものをかんで歯が欠けた、仮歯が外れた、歯茎が腫れて出血した、などです。

電話で症状を聞き、フェイスタイムでその人の口内を実際に見て、患者指定のファーマシーに抗生物質の処方箋を送ったり、自宅でできる応急処置の方法を伝授したりしました。

例えば仮歯が外れた人には、市販の仮歯用セメント剤を購入するよう指示。患部を清潔にした上で、そのセメント剤で仮歯を再接着するよう指導しました。当院の患者ではない場合は、パンデミックが落ち着いたらかかりつけの歯科医にきちんと治療してもらうよう指示したのは言うまでもありません。

こうした臨機応変な対応を迫られたのは、他の歯科医も同様で、フェイスブックの歯科医グループでもこれが話題に登りました。このような臨時対応に治療費はもらえないので、私も含め、私が知る歯科医は皆、無料で対応していました。

 

Q.歯科クリーニングや定期検診など、緊急でない診療もされますか?

A.

はい、全ての患者に対応します。クリーニング用のエアゾールは使用を禁止されているので、高速吸引器を導入し、治療中に飛沫(ひまつ)が飛ばないようにしています。

 

Q. 安全に治療を受けるために、患者がすべきことはありますか?

A.

マスクや手洗いなど、一般的な予防対策を実践することです。歯科クリニックでの安全対策について疑問があれば、遠慮せずに問い合わせてください。来院するために、コロナの症状がないのに検査を受けなくていいですが、症状があれば検査を受けてください。

 

 

 

クララ・リー先生
Clara Lee, DDS

_________________

歯科医師(Board certified)。
ニューヨーク大学歯学部卒業後、ブルックデール大学病院・医療センター歯科・口腔外科部門でレジデンシーを修了し、チーフレジデントに。
ブルックリンとマンハッタンの歯科医院勤務を経て、2010年からウォーターサイド・デンタル・ケア院長。
一般歯科、矯正(インビザライン)、歯周病、インプラント、レーザー治療など。
ニューヨーク大学歯学部講師。

 

Waterside Dental Care

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(25th St. & FDR)
TEL: 212-683-6260
www.WatersideDDS.com
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